赤い月 終

「はぁ?
千景が?」


「うん。
俺がうさちゃん呼んでたら、なんでか母さんが起きちゃったンだって。」


「…はぁん…」


秋時は眉間に指を当てて、溜め息を吐いた。

なんか、わかった気がする。

コイツも『うさぎうさぎ』で、アイツも『ゼンキゼンキ』だった。

そりゃ共鳴もするわな。

情熱のままに、愛に殉ずる似た者親子…

って、納得してる場合じゃねーよ。

問題は…


「あの… 秋時。
落ち着いたのなら、今後の話をしても良いだろうか?」


秋時の顔色を窺うように、うさぎが恐る恐る片手を上げた。

どうして彼女まで、叱られた子ウサギのようになっているのかは全くもって謎だが、それはさておき、問題はまさにソレ。

秋時は居住まいを正し、うさぎに軽く頷きかけた。

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