赤い月 終

「景時の加護を造った者は、誰なのじゃ?」


「「ん?」」


予想もしなかったうさぎの問い掛けに、景時と秋時は目を丸くした。

ダレって、そりゃ…


「あの加護は、共に堕ちて増殖する筈の闇に、人の強い思いを織り込む事で意思を持たせ、その闇を以て赤光の闇を抑えるという術であろう?
幾つもの呪を巧みに重ね合わせた、実に良く出来た術じゃ。」


「「あー… そーなの?」」


「名のある呪術者が、長い時間をかけて編み出したものに違いない。
その者の残した文献などを調べれば、他に良い手立てが」


「ソレは無理。」


うさぎの言葉を、秋時が掌を見せて制した。


「アレは高名な術者とかじゃなくて、娘が…コイツの母親が造ったモンなんだわ。」


「俺が生まれてからの数年間で、突貫工事的に?」


秋時の言葉を、景時が継ぐ。

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