赤い月 終
死んだほーがマシ
景時と秋時がやっとまともに動き出した頃、奥の部屋で休んでいた薫が起きてきた。
いや、とっくに起きてはいたらしいが、二人同様身動きがとれなくなっていたようだ。
「いやー…
死にそーになって起きたとか、貴重な体験だわー」
薫は疲れきった顔で頭を掻いた。
うん。
大変だったね。
でも、もう大丈夫でショ?
薫ちゃんは強いコだもんネ☆
てなわけで、薫も巻き込んで『うさぎ台風』の後始末。
食らったことのない強烈な鬼気ではあったが、鬼神本来の力を考えれば、これくらいですんだことは幸運だったのだろう。
寺も庫裏も吹っ飛ばず、ケガ人もいないのだから。
人形のように見えたうさぎだが、ドコかに残っていた彼女の心が、無意識の内に力を制御したのかも知れない。