赤い月 終
死んだほーがマシ

景時と秋時がやっとまともに動き出した頃、奥の部屋で休んでいた薫が起きてきた。

いや、とっくに起きてはいたらしいが、二人同様身動きがとれなくなっていたようだ。


「いやー…
死にそーになって起きたとか、貴重な体験だわー」


薫は疲れきった顔で頭を掻いた。

うん。
大変だったね。

でも、もう大丈夫でショ?
薫ちゃんは強いコだもんネ☆

てなわけで、薫も巻き込んで『うさぎ台風』の後始末。

食らったことのない強烈な鬼気ではあったが、鬼神本来の力を考えれば、これくらいですんだことは幸運だったのだろう。

寺も庫裏も吹っ飛ばず、ケガ人もいないのだから。

人形のように見えたうさぎだが、ドコかに残っていた彼女の心が、無意識の内に力を制御したのかも知れない。

< 85 / 279 >

この作品をシェア

pagetop