赤い月 終
景時は白い歯を見せて、ニヒヒと笑った。
「だから、俺も幸せ。
ジジィがいて、薫がいて、後はうさちゃんが帰ってきてくれたら、もうソレでイイ。
それに…」
景時は空を仰いだ。
ビルの谷間から姿を見せ始めた太陽に、目を細める。
秋時と薫も、景時の視線を追って朝日を見上げた。
「本当にオニになるかどーかも、まだわかんねぇじゃん?」
「確かに…
ソコまで育った赤光の話なんて、聞いたコトねぇしな。」
「オニにはならなかったケド、うさぎサマは帰らないってパターンもアリなのか…」
「…
薫ちゃん?」
こんなのは、ただの現実逃避。
わかんねぇじゃん?なんて言ったケド、きっと俺はオニになる。
その兆候は、もう出てる。
だけど。
それでも。
俺が幸せだってコトは本当だから。