『鬼』
零章【約定】
遥か昔、鬼とヒトとの間に約定が交わされた。

遠い、遠い、昔の約束。

 長らく争っていた両族だったが、

鬼族の圧倒的な力を見せつけられたヒト達は、次第に戦力を失い、
絶望していった。

 為す術を失くしたヒトは、降伏を余儀なくされ、世界は鬼族に支配された。

住む場所さえも奪われ、従うしかなくなった敗者は、
鬼からの約定を受け入れるしかなかった。少しでも平和に暮らす為に。



壱、四代名家に生まれた長女は必ず四鬼名家に嫁がせよ。

壱、四代名家同士の婚姻は認めない。

壱、四代名家当主が一堂に介すことを禁じる。

壱、決められた領域を侵すことを禁じる。

壱、万鬼目家の言は絶対である。

これらの禁を犯した者は、鬼に仇なす者とみなし、容赦はしない。


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