甘くも苦い恋
「ちょっと璃來ー!あんた佐田課長と知り合い!?」
「えっ!?ち、違うよ!」
あたしは咄嗟に否定する。
蒼介さんだって、あたしと知り合いだったなんて知らされたら困るよね。
「じゃあみんな、それぞれの仕事に戻って。美山さん、こっちに」
蒼介さんは優しい笑みを浮かべながら、あたしを資料室に促す。
資料室って…みんなからは死角になっていて、しかもブラインドが閉まってるから回りからは一切見えないんだよね。
でも……
「は、はい…」
上司の命令に逆らえるハズもなく、あたしは渋々と資料室に入るしかなかった。
――パタン…
二人で資料室に入ると、蒼介さんはガチャリと鍵を閉めた。
えっ!?
か、鍵を……。
あたし戸惑いながらも、背の高い彼の顔を見上げた。