甘くも苦い恋
「――で、どっちが好きなの?」
「ブッ…!!」
お昼休み。
うどんを啜っていたら、さくらが突然そんな質問をしてくるものだから…思わず噴いてしまった。
「い、いきなり何よ!」
「いきなりじゃないよー!璃來…あんた、相当いい男に気に入られてんだね」
さくらは恨めしそうにあたしを見る。
「気に入られるも何も…そうす……佐田課長とも加藤さんとも仕事の話してただけだよ」
危うく“蒼介さん”と言いそうになり、焦るあたし。
でもさくらはそんなことには気付いていないらしく、自分のお昼のたらこスパゲッティーを器用に巻く。
「まぁー…佐田課長は癒し系のイケメンだし?加藤さんはバリバリ肉食系のイケメンだし?どっちに転んでも良いわよねぇ♪」
さくらは目をキラキラさせながら言う。
どっちに転んでもって……。
「あたしは……誰でもいいとかっていうの、好きじゃないよ」
「やだ、璃來!あんたそんなこと言ってるから男が出来ないのよ!この際、二股でもしちゃいなさいよ!それくらいの勢いじゃなけりゃ……一生男なんて出来ないわよ!!」
さくらは必死で伝えてくる。
でも、あたしは……。
「あ、さくら。今夜の合コン?行けないや。あたし先客があったんだ」
あたしは食べ終わったうどんた片付けようと、席を立った。
「あらやだ。男かしら」
「もう、さくら!」
さくらは可笑しそうに笑っている。
それはそうと……そういえば…加藤さん、後で話がある、とか言ってたよね。