甘くも苦い恋

加藤さん…何を話したかったんだろう。




あんなふうにはぐらかされると、余計に気になっちゃうよ。




「――美山」




急に名前を呼ばれて、ビクッとなる。




しかもこの声って……




「そう…佐田課長……」




やだ、あたし。
会社では“佐田課長”って呼ばないと変に思われるのに。




「今……加藤と何話してたんだ?」




「えっ?」




蒼介さんは真面目な声で聞いてくる。




どうしたの?いきなり……。




「別に…普通に他愛もない話ですよ」




あたしは無難にそう答える。




すると、蒼介さんはしばらく黙った。




「……そうか。悪い、変なこと聞いたな」




苦笑いをしながら、自分のデスクに戻っていく蒼介さん。




なんか腑に落ちない顔してたけど……。




っていうか、あたし……




今夜、蒼介さんと約束してるし……!



< 25 / 43 >

この作品をシェア

pagetop