甘くも苦い恋
午後の仕事も終わり、定時になる。
「璃來!今度はちゃんと来なさいよ!合コン!!」
さくらの言葉に、思わず笑いが出る。
「出れたらね!いってらっしゃい」
いつも以上に化粧の濃いさくらを見送り、あたしは自分の帰り支度をする。
蒼介さんも終わったみたいで、ツカツカとあたしのデスクに歩み寄ってくる。
そして……
「先に行って待ってるから」
「……っ…」
蒼介さんはあたしの耳元でそう囁き、オフィスを出ていった。
「佐田課長ってカッコいいよねぇ~」
近くのデスクにいる新人の女の子が甲高い声を上げる。
どうやら蒼介さんのことで騒いでるらしい。
「分かるぅーっ!今までは加藤さんがぶっちぎりでイケメンだったけど、佐田課長もなかなかだよねー」
やっぱり比較するのはみんな、加藤さんと蒼介さんなんだ。
「佐田課長、彼女いるのかな」
「えー、いそうじゃない?優しそうに見えて、実はベッドの上だと肉食!みたいな感じかもしんないし」
ち、ちょっと!
なんて話してんのよ!!
「分かるかもっ!“そう簡単にイカせねぇよ”とか言いそ~~!!」
「キャーーッ!ヤバーイッ♪♪♪」
あたしはそそくさとオフィスを出た。