甘くも苦い恋
「璃來、来たのか」
蒼介さんは優しい笑みを浮かべ、席を立つ。
「あ、すみません。遅れちゃって……」
「別に構わないよ。さ、行こうか」
蒼介さんはバーテンダーに料金を渡すと、ビシネスバッグを持って店の出口に向かった。
「あの、蒼介さんっ…」
「話は二人きりになってから。ダメ?」
蒼介さんの綺麗な瞳に釘付けになる。
頷かざるを得ない……。
「よし、いい子だ」
蒼介さんは満足したのか、あたしの手を握って歩き出した。
蒼介さんと初めて出会ったのも…バーだったなぁ……。
あの時、話し掛けられて…この人に恋をして。
今まで男の人と付き合ったことのないあたし。
彼となら、恋愛してみてもいいかもって思えた。
でも…住む世界が違う気がして、あたしから逃げたのに……
あなたは追ってきてくれた。