甘くも苦い恋
「蒼介さん、気付いてたんですか…」
「うん、まあね。あ、着いた」
あたし達を乗せたエレベーターは最上階に着き、蒼介さんはあたしをエスコートしながら降りた。
最上階のフロアは一部屋しかなく、蒼介さんだけの貸切状態だった。
部屋に入ると、目の前には一面ガラス張りになったリビングがあった。
「蒼介さん、凄い所に住んでるんですね……」
こんなマンション、ドラマや映画でしか見たことがない。
「そんなことないよ。璃來、シャワー浴びる?」
蒼介さんはスーツを脱ぐと、キッチンに入った。
「あ、あのっ……」
あたしはぎゅっと手を握り、言葉に詰まってしまう。
“シャワー浴びる?”
軽々と聞かれた言葉。
蒼介さん、慣れてるんだ。
こんな風に、女の子を部屋に入れることくらい、普通で……。