甘くも苦い恋
「あ、すみません!変なこと話して…もう、忘れ……」
「いや!違うんだ。ごめん……俺が悪かった」
気付くと信号が赤になっていて、あたしは蒼介さんの腕に抱き締められていた。
え……?
あたしは急な出来事に頭が追い付かなかった。
あたし、蒼介さんに……抱き締められてる?
「蒼介、さん…?」
「ごめん、璃來ちゃん。辛いこと話させた」
ぎゅっと抱き締められ、ジャスミンの香りがあたしを包む。
蒼介さん……。
「蒼介さん、いいんです。あたしが勝手に話し出したんですから」
「璃來ちゃん……いや、璃來」
そっと体が離れ、蒼介さんの綺麗な指があたしの頬をなぞる。
優しい感触に、胸がきゅんとなる。