イチゴ汁

「どうしてそんなに死にたいの?」


つき合い始めて間もない頃
両腕の包帯だけを残して
ハダカンボーになった彼女を
後ろから抱きしめながら
聞いてみた事があった。


寝ぼけたようにふにゃふにゃした、
か細い声で彼女はこう答えた。


「・・・明日も生きていけるのかどうかが
知りたいから」


「腕を切って、そのまま眠って・・・
それでも朝、目が覚めたなら、
あたしの寿命はまだなのかなぁって
そう、思えるでしょう?」


「じゃあ、そのまま目が覚めなかったら?」


「そうか、明日まで生きていけなかったんだなって
わかるでしょ?」


「死んだらなんにもわからないじゃないか」


「死んでみないとわからないでしょ?」

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