戸田くんの取り扱い説明書
その1
告白は超レアであり、断れません。
「付き合え」
「はいっ、いいですよ!」
放課後2人きりの静かすぎる教室で、そう私に言ったのは、クラスメイトの戸田くん。
「……本当に?」
戸田くんは私の顔を、綺麗な瞳で真っ直ぐ見つめてくる。
「当たり前じゃないですか!…で、どこに行くんですか?」
「………。」
「…え?戸田くん?」
あれ私、なんか変な事言ったっけ?
戸田くんは私に、買い物とかに付き合え、って意味で言っ………
「ばぁか」
「ばっ…?!」
黙った次に「ばぁか」?!
もう、なにがなんだかわかりません!
戸田くんは、はぁ、と短くため息をついたあと、また、その綺麗すぎる瞳を真っ直ぐ私に向けた。
「実里が好きだから付き合え」
「へっ?」
表情を全く変えず、一息で言い切った戸田くん。
好きだから付き合え?
戸田くんが、私を?
「うううう嘘嘘嘘っ!」
あり得ないよ、そんなの!
「うるさい。実里に拒否権はない。断ったら殺す」
「こっ……!?」
こここここ殺す?!
おおおおお恐ろしい!!!
「今から実里は俺の彼女。わかった」
「…は、い……」
戸田くんは、私が答えると満足そうに笑った。
その時初めて、戸田くんの笑う顔を見た。
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