戸田くんの取り扱い説明書
その4
頭の良さも尋常じゃありません。
戸田くんの特技は、いつでもどこでも寝れる事かもしれない。
「ったく、戸田はまた睡眠中か」
化学の授業中、担当の前川先生がため息をついた。
化学実験室に移動の時は、確かに起きてたはずなんだけど……。
授業が始まってまだ3分も経たないうちに戸田くんはもう夢の中。
戸田くん…
もうすぐテストですよ…?
授業ちゃんと受けた方がいいと思うけど…
そんな私の心配をよそに、戸田くんは授業終了まで一度も目を覚まさなかった。
そして迎えた、テスト当日。
私は、テストの答案用紙を前に固まっていた。
えっ…… なにこれ。
こんなの習ったっけ?
…うわぁ、わかんない。
最悪…………!!
「時間です。ペンを置いてください」
オワッタ。
さよなら。
私のハッピーライフ。
赤点ばっかりで、きっとお母さんの雷が落ちまくるだろう。