戸田くんの取り扱い説明書
「一緒に帰れってこと。そんなのもわかんないわけ」
「え……」
戸田くん、今なんて……?
……う、嬉しい…っ!!
戸田くんは私の首に腕を回したまま、器用に靴を履き替えた。
でも……
周りの方々にめちゃくちゃ見られてるーーーーッ
「あの戸田くん! 離れてくださいっ」
そう言うと、意外にあっさりと離れてくれた。
2人並んで玄関を出た。
戸田くんと下校するのは、恥ずかしながら初めてです。
学校を出てしばらく歩いて、人影が少なくなったところで、戸田くんは右手を差し出してきた。
「…………?」
えーーと、えーーーと……
差し出されたその手をじぃーーっと見ていると…
「実里に拒否権はないから」
そう言って、戸田くんは私の手をぎゅっと握った。
あわわわわわわわわわっっ!
心臓爆発するッッ!!
顔あっつい!!!
パニック状態に陥っている私にはお構いなしに、戸田くんはスタスタと歩く。
なんだか、今日の戸田くんはいつもと違う。
いつもはもっと眠そうで、めんどくさそうで……
なにかあったのかな…?