戸田くんの取り扱い説明書
2人きりになった私と戸田くん。
「あのー…戸田くん。なんでこんなところでティッシュ配りなんかしてるんですか?」
「なんでって、バイト」
「え、これが…?」
「だから言ったじゃん」
嘘嘘っ!
戸田くんのことだから、もっと華やかな、洒落たカフェとかでバイトかと………
意外すぎるよ戸田くん!
「あーそれより、コレ手伝って。今日これ全部配んないと帰れないから」
「えっ、戸田くんだけで十分だと思いますけど…」
「いーから。早く」
「はっ、ハイ!」
岡田さんは、片手にカレーの材料、片手にティッシュ、というなんとも不思議な格好でティッシュ配りをしたのでした。
ーーー数日後。
「大量にティッシュもらったんだけどいるよね」
「え、なんでもうもらわなきゃダメみたいになってるんですか」
「1ヶ月お疲れってことで、大量にもらった」
「バイト辞めたんですか?」
「当たり前。あんな女に囲まれたら無理だし疲れるし」
「え、えー……じ、じゃあ2、3個もらいます」
「じゃあ追加で実里の家のポストに50個くらい入れとく」
「きゃあぁぁぁぁやめてくださいっ!!」