戸田くんの取り扱い説明書
その9
嫉妬だって、するそうです。
「岡田ー、宿題見してーー」
「見ないほうが身のためだと思いますけど…」
「いいからー、頼む!」
そう言って、私の手からひょいと宿題をとったのは、クラスメイトの和泉くん。
体育の100メートル走る時に断トツで1位だった、あの和泉くんです。
そして、戸田くんの幼馴染でもあるそう。
ここ最近、私と仲がいい。
席が隣、って理由もあるけど、なんというか、話しやすい。
授業中、和泉くんは戸田くんのことをこっそり話してくれる。
『戸田、中学ん時はバスケやってたんだよ』とか、『あいつ、ああ見えて結構甘党なんだよ』などなど。
まだ知らなかった戸田くんの一面を聞けるから、私は自然と和泉くんとの会話を楽しみにするようになった。