戸田くんの取り扱い説明書
教室に入るともうすでにHRは終わっていて、担任の代わりに池田先生がニヤニヤしながらこちらを見ている。
1限目世界史だっけ…
うわぁ、最悪。
池田先生はなにか言いたげにしながらも、黙ったままなおもニヤニヤしている。
池田先生の視線がある一点に留まり、私はその方に目を向ける。
………あ。
「っ戸田くん!手!」
さっきから手繋ぎっぱなしだった!!
私は離そうと手をぱっと開くが、戸田くんは離してくれない。
むしろ、さらにぎゅっと強くなる力。
私の頭は大混乱。
歩き方はぎくしゃくしてるんじゃないか。