アポロチョコ
「位置に着いて、用意……」
<パン!>
スタートの合図に選手が一斉に走り出た。
いきなり先頭三人とその他大勢に攻勢が分かれる。
どうやら、山上は先頭三名の内に紛れているようだ。
周を追うごとに、先頭集団とその他大勢の差は広がるばかり。
でも、三人は追いつ抜かれつ、その僅かな差を入れ替えはするものの固まったままだ。
最後の一周、三人の一人がスパートをかけた。
――誰だ?
遠目でよくはわからないが、山上じゃない。
あたしは急ぎスタンド最前列に走り出ると、メガフォンを口にして叫んだ。
「こりゃぁ~、山上、なにやっとんじゃぁ~、根性みせぇ~」
そりゃもう力の限り。