アポロチョコ
あたしは奴の笑顔の残像にただ呆然と立ち尽くしていた。
――やばい。完全にやられた。
何がどうって、奴の全てが、あたしに向かってぶち当たったのだ。
額に滲んだ汗。
真っ直ぐな言葉。
納得した笑顔。
こんなことってあるんだな。
あたしの胸の鼓動は半端なく増し、血がめぐり過ぎて眩暈がした。
こ、これって、こ、恋?
――マジかよ……
彷徨うように帰路に着き、バスと電車を乗り継いで、それでもちゃんと家にたどり着いた。
帰省本能半端ない。
犬か、あたしは。
気づいてしまったからには仕方ない。
この気持ち。
さて、どうしたものか……
と思ったものの、もう止められなかった。