アポロチョコ
陸上馬鹿
月曜、朝の教室。
机に突っ伏したあたしの頭に、大きな手が乗った。
「よっ、若宮、土曜はありがとな」
「へっ?!」
素っ頓狂な声と共にあたしは起き上がる。
「山上……」
「なになに? 二人どうしたって?」
周りにクラスの男共が集まってきた。
「いや、なに、土曜の関東大会にこいつが応援に来てくれてさ」
普通の顔して普通に喋る、山上の様子に唖然とした。
「マジかよ? 山梨とか言ってなかった?」
「す、すっごい暇だったし。
て、天気もめちゃくちゃ良くて、遠足気分でさ……」
あたしは平静を装い、ちょっとおどけて取り繕う。
「ほんとそれだけ?」
「あ、当たり前だろ、ク、クラスメートだしさ……」
歯切れの悪さ半端ないあたしの言い訳に、男共は怪訝な顔をしていたけれど。
「ま、若宮だし、それもありか」
なんて、失礼な結論に至ったようで、始業合図のチャイムが鳴って、あたしは運よくそれ以上の突っ込みを免れた。