アポロチョコ

「随分しごかれてたじゃない、大丈夫?

まさか、もう音をあげた、なんて言わないでしょうね」

更衣室では西原芳美が待っていた。

「う~ん、まぁ許容範囲内ってとこかな。

正直きついけど、耐えられないほどじゃない」

少しだけ気持ち良さが上回る。

「そう、なら良かった。

山上くん直々のスカウトだものね、先が楽しみだわ。

それにしても……」

「それにしても?」

「山上くんがねぇ~」

「山上が?」

「なんでもなぁ~い。

じゃ、また明日。鍵は教務室に返しておいてね」

お先に、と意味深な笑みを残し、西原芳美は帰っていったのだった。
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