アポロチョコ

と、突然立ち止まった大きな背中から声が聞こえてきた。

「お前んちってさ、こないだも真っ暗だったけど誰もいねぇの?」

「あ、家は共働きでさ、二人とも夜遅い」

「じゃ、夕飯は?」

「ご心配なく、適当にレトルト食べるから」

いつの間にか到着していた家の前で、あたしは湧き上がる疑問を胸に押し込め、早々に家の中へ逃げ込もうと鍵を取り出し鍵穴へ差し込んだ。


「家へ来い」

「へ?」

「いいから来い!

こっからそう遠くない、歩いて十分ほどだ。

大丈夫、帰りは送ってやる、安心しろ」

「また何俺様気取ってんだよっ! 本当にあたしは……」

「また塞がれたいのか?」


その一言であたしは言葉を飲み込んだ。

更に歩いて十分。

あたしは何故か山上の家の前にいた。
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