アポロチョコ
「母さん、飯まだぁ~」
「母ちゃん、お腹空いたぁ~」
あたしがドンブリにご飯をよそっていると、家の奥から続々と野郎共が沸いてきた。
「ねぇ、あんた何人兄弟?」
あたしは、横であたしのよそったご飯を均している山上に尋ねた。
「兄ちゃんが二人に、弟が三人」
「えぇ~、六人兄弟?! それも野郎ばっか!」
「そうなのよぉ~、あたしも一人くらい女の子が欲しかった。もうこうなると、ご飯というより餌ね」
額に汗して、大きな鍋をかき混ぜてる山上母を見れば、その苦労は並々ならぬものだろうと察せられた。
「い、いえ、そんなことありませんよ! とっても美味しそうな匂いがしてます!」
「まったく、こんなむさ苦しいところに女の子を連れてくるなんて、あなた、よっぽど雄太に気にいられてるのね」
両手に大鍋をかかえた山上母が、そう言ってにっこりと笑った。
――あ、山上の笑顔にそっくり。
親子なんだなぁ、と当たり前のことに感心してしまった。