アポロチョコ
こういう時は要注意なのだ。
霧子は見かけによらず頑固なのだ。
自分がこうと思ったことは曲げないしやり遂げる。
「無理無理無理、絶対無理!」
あたしは耳を押さえて抵抗した。
「わたしは正哉に生チョコ作ってあげるけど、咲の山上分も一緒に作ったげようか?」
「いい、いらない、必要ない!
だいたい、そんなお洒落なもん、あたしが作ったんじゃないってバレバレだよ!」
そんなに興奮することないじゃない、と霧子に笑われた。
あたしの気持ちを揺さぶって、興奮させているのは自分だと、霧子は多分わかってやっている。
霧子にだけには、あたしのホントの気持ちを打ち明けていた。
山上が好きなあたしの気持ちを。
親友だからね。
霧子は口堅いし。