アポロチョコ
平日の放課後は山野家と山之辺家の家事で忙しい霧子。
あたしの部活動を気にはしてくれていたけれど、結局あたしがしっかりするしか方法は無い訳で。
流されず、飲み込まれず、自分をしっかり持てよ! と自分に言い聞かせていた。
「そろそろ迎えに来る頃だなぁ」
と霧子が言うと、ホントに玄関のチャイムが鳴った。
「お前ら、ホント、もう夫婦の域じゃね?」
「そんなことない。
プライバシーは確保してるし、わたし達まだ若いんだもの、未来は未知数だよ。
咲も来る? 今晩はハンバーグだよ」
霧子は毎日、山之辺宅で夕食を作っているのだ。
母を事故で亡くした山之辺のまだ小さい妹由紀ちゃんの為に。
山之辺が絶対の信頼を霧子に抱いているのも、分かる気がする。