アポロチョコ
「あれ、山上くん?」
あいつの名前を聞いて、条件反射であたしの身体がビクッと震えた。
「山上から連絡貰ってさ、咲の居場所を知ってるかって。
だから、一緒に連れてきた。
咲、来てんだろ?」
――ったく山之辺、余計なことを!
「咲ぃ~、お迎えだよぉ~」
どっちにしても、あたしはもうここには居られない訳で。
霧子達と山之辺家に行くか、山上について何処かへ行くか、選択するしかない訳で。
――嗚呼、根無し草は辛いなぁ~
仕方なく、あたしはコートを持って玄関に出た。
「な、いただろ」
「ん、サンキュー」
なんて顔を見合わせて笑ってる二人を睨みつけた。
「なんであんた達知がり合いなの?!」
だって、二人はクラスも部活も違う。
趣味も全然違いそうな二人じゃない。
接点なんて見つからない。
「俺達、中学んの時同じ塾でさ。小人数の小さな塾だったからみんな結構仲良くて」
なんて、普通にさらりと理由が述べられて、あたしは肩を落とした。