アポロチョコ


「おはよう……、って咲、どうしたのっ!」


教室入るなり、霧子が驚嘆の叫び声をあげた。

「ち、ちょっと……、不味いよ、さすがにその顔じゃ……」

そのままトイレに連れ込まれ、水で濡らしたタオルを目に当てられた。


「尋常じゃないね」

こんなに泣かされて、と霧子が眉をしかめた。

「気分はすっきりだけどね」

あたしは平静を装って、なるべくクールに応えたつもり。

「馬鹿言わないの。

寝てないでしょ。そんなんでまともな判断が出来るとは思えない。

このまま保健室で寝てなさい」


確かに眠い。

あたしは霧子に為されるがまま、保健室へと連れていかれた。


「お昼に迎えにくるから、大人しく寝てること!」


ここは霧子の忠告に従おう。

なにせ、あたしは今まともな判断が出来ない状態にいるのだ。


重い瞼を静かに目を閉じ、あたしはベッドに身体を沈めた。
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