アポロチョコ


「う~ん、よく寝たぁ~」


あたしは保健室のベッドで大きな伸びをした。

時計を見ると正午過ぎ。

たっぷり四時間は爆酔したようだ。

身体も軽いし、靄がかかったような思考も、何故かすっきり晴れていた。


「睡眠、恐るべし」

「そうよぉ~、睡眠不足は美容の大敵よぉ~」

独り言に相槌を打たれ、ここが保健室だと今更ながら気が付いた。

「うわぁ~、大滝先生、さぼりじゃないですっ!」

むくっと起き上がり、ベッドから飛び起きた。

「いいのよ、若宮さんが寝不足なんて初めてのことじゃない。

さっきは顔色も悪かったし、先生心配してたのよ」

デスクから顔を上げ、ニッコリ微笑む姿はまさに女神。

「はいっ! もうすっかりです!」

「目の腫れも大分いいみたいね」

保健の大滝先生は、美人で優しいと評判の先生なのだ。


一人で泣いてちゃ駄目よ、と先生が爽やかなミントティーをご馳走してくれた。
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