アポロチョコ
「咲ぃ、お昼食べよう!」
そうこうしているうちに霧子が呼びにきた。
「わ、すっかり元気じゃん、さすが咲」
大滝先生と優雅にお茶を飲んでるあたしを見て、霧子が笑った。
「霧子が言ったとおりだ。
睡眠不足は精神に良くないな。
これからは悩んだら泣く前に寝ることにする」
すっかり元気を取り戻したあたしは、足取りも軽く美術室への階段を登っていた。
「その前にわたしに相談しなさい。
仮にも、親友なんでしょわたし達」
そんなあたしを見つめる霧子の目は、あくまでも冷静だ。
「なんか、いちいちあたしらしくなくて参っちゃった。
恋愛を意識し過ぎると墓穴を掘る。
これ教訓だな」
みんなよくやるよ、と世間の女子一般を思い浮かべて溜息をついた。