アポロチョコ


「じゃ、咲、部活がんばって。あくまでも自然体だよ」


霧子が心配そうに覗き込んで来たから、あたしは無理矢理笑顔を作った。

「大丈夫。走ればみんな吹っ飛んじゃうって」

それは自分を奮い立たせる為でもあった。

あたしはそんなに柔じゃない、もう泣くもんかってさ。


放課後、あたしはいつもの通り、着替えるために部室に向かった。

正直、ちょっと気まずい。

昨日の自分の行動を考えると、どう取り繕っていいのか焦ってしまう。

でも、そんなことより、あいつの前からこのまま逃げるなんてかっこ悪いことはしたくない。


「はぁ~、咲、ファイトッ!」


自分に自分で喝を入れ、勢いよく部室のドアを開けた。


「あら、若宮さん、早いじゃない。熱心ね」



部室には、既にジャージに着替えた西原芳美がいた。
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