アポロチョコ
なのに……
「そっか、なら問題ないな」
「えっ?」
「今日もちゃんと家へ来い」
母さんも待ってるし、と言い足した山上はいつもと変わらぬ彼なのだけれど。
「……いかない」
ってか、いける訳ない。
――嗚呼、こいつはなんもわかっちゃいない……
「何でだ?」
「だから……、けじめだって言ってんだろ!」
「お前、何こだわってるんだ?
俺は彼女なんてまどろっこしいもの作る気は無いし……」
――嗚呼、神様は残酷だ。
「今日もご指導ありがとうございました。
あたし帰るわ。
悪いけど用事あるから山上の家には行けない」
「待てよ……」
と引き止める彼の声に耳を塞ぎ、また明日、と付け足して、あたしは勢い踵を返して彼のもとから走り去った。