アポロチョコ
あたしのこの恋愛に対する自意識過剰な妄想は、この二人が原因かもしれない。
好きの気持ちを素直に行動で表して、愛を確かめ合うこの二人。
霧子は納得したら即行動の現実主義者で。
その彼女を納得させたのは山之辺の本気なのだ。
あたしは中途半端な凡人だから。
中途半端な本気じゃ相手を納得させることだって叶わない。
――くそぉ……
あたしは、箱から取り出したアポロチョコを一粒、空に放り投げた。
素早く口を開け、その下でキャッチする。
甘酸っぱいイチゴの香りが口の中に広がった。
あたしは小さな一歩も前に踏み出すことができない臆病者なのだ。