アポロチョコ


あたしは、グランド脇の芝生に座って水分補給。

なるべく山上から目を逸らそうと、意識を喉に集中させた。


と、身体を冷やしちゃいけないと羽織ったジャージのポケットで何やらカサッと音がした。

――あ、アポロチョコ。

昼休みに食べたアポロチョコが入れっぱなしになっていたのだ。

確かまだ、二三個残っていた筈だ。

あたしはおもむろに箱からアポロを取り出した。

そのまま空高くアポロを放り投げる。

素早く口を開け、その下でキャッチした。


「上手いじゃねぇか」


突如聞こえた低い声にギョッとした。


「や、山上……」


いつの間にそこにいたのか、山上が立っていた。
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