アポロチョコ
城北のロゴを染め抜いた真紅のランニングユニフォーム。
ゼッケンは10。
校庭でのジャージ姿とは一味違う雰囲気に息を呑んだ。
むき出された足は、長く、程よく筋肉がついていた。
そして、広い肩幅の上に乗った太い首。
準備運動に軽く振り上げた腕の筋肉の動きに、あたしは目を奪われる。
――って、あたしどこ見てんだっ!
首をブンブン振って、邪念を振り払った。
応援だ。
あたしは山上を応援する為にここにいる。
空を仰ぎ見た。
いい天気だ。
雲は多いが風も無く、空は穏やかに晴れ渡っている。
あたしはデイパックからプラスチック製のメガフォンを取り出すと、座った席の隣りに置いた。