“またね。”
―これは
なに?
「あー!なつみらぁー」
美香が勢いよく菜摘に抱きついたせいでバランスを崩し、壁に軽く背中を打つ。
─ちょっと待ってよ。
明らかに様子がおかしい。
「…美香、何してんの?」
こんなの聞かなくたって、誰が見たって
何してるかなんて、一目瞭然だった。
でも認めたくなかった。
「なつみもやろぉよぉー」
美香、やってないって言ったじゃん。
『あたしはやってないよ』って、笑ってくれたじゃん。
差し出された物は、白く濁ったビニール袋。
やっぱりテレビしかついていない部屋には、菜摘を合わせて7人。
植木くんと駿くんもいる。
大ちゃんは─
「…な…つみ?」
ベッドから、誰かがゆっくりと起き上がった。
見なくたって、声でわかる。
いつもより少しかすれた声。
──頭が真っ白で
うまく回らない。
「…大ちゃん…」