“またね。”
……目が綺麗だと思った。
アヒル口っていうのかな。
クッキリ二重の大きな目に高い鼻、口の両端がクイッと上がっていて、とても可愛らしい顔。
無造作にセットされた、少し茶色掛かった短髪。
背が高くて細身がちなのに、まくった袖から見える腕には、しっかりと筋肉がついていた。
……菜摘が思い描いていた理想像、そのものだった。
「うまいじゃん。これならうちの高校入っても大丈夫だ!」
そう言いながら、無邪気な笑顔で菜摘の頭を少し乱暴に撫でた。
「…あ…はい、どうも…」
……あんなに張り切ってたくせに
緊張のあまり、うまく喋れない。
この感情を
どう表現したらいいんだろう。
『ビビッときた』なんてよく聞くけど、もっと大きな何か。
『恋に落ちた』なんて甘い言葉は似合わない気がした。
表現の仕方が全く思いつかない。
だって―
こんな感情を抱いたのは初めてだから。
一瞬目が合っただけで、もう釘付け。
『山岸』に不思議そうな顔で見られた時、やっと目を逸らせた。
「菜摘?」
名前を呼ぶ、隆志の声にも反応できなくて
聞こえるのは、自分の激しい鼓動だけ。
時間が止まったような気さえした。
顔だけじゃなく全身が熱い。
きっと今、顔真っ赤だ。
……こういうの、なんていうんだっけ。
一目惚れっていうのかな……。
これが……あなたとの出会いでした。