“またね。”
クリスマスが少し過ぎた頃、冬休みに入った菜摘は1人で深夜番組を見ていた。
午前3時。
携帯が鳴った。
こんな時間にメールなんて珍しいな、と思いながら、内容を確認する。
《アドレス変えました。山岸大輔》
ただのアド変。
ただの連絡事項。
それなのに、大ちゃんからメールがきたことが嬉しい。
《送信:大ちゃん
わかったよ》
登録もしないうちに返信する。
普段はアド変に返信なんてしないけど、大ちゃんだから。
もしかしたらまた返してくれるかもしれないって、そんな小さな期待。
《受信:大ちゃん
まだ起きてんの?》
返事がきて、ちょっと頬が緩む。
なんとなくアドレスを見てみたら
彼女の名前が入っていなくて、内心ホッとした。
《送信:大ちゃん
冬休みだもん。こんな時間にメールなんて非常識だよ》
寝ていた人からしてみれば本当に迷惑な話。
そこが大ちゃんらしいんだけど。
送信完了を確認して、テレビを消した。