“またね。”
静まり返った部屋にバイブの音が響く。
メールかと思えば電話。
【着信中:大ちゃん】
大ちゃんからの、初めての電話。
着歴って保護できないんだっけ─
「はーい」
【電話は非常識?】
もう本当にやめてほしい。
「メールより非常識だよ」
嬉しくてたまらない。
今日はきっと眠れない。
ははっと笑う声が聞こえた。
ドキドキする。
【俺ね、約束守ってるよ】
最初の話題からもうついていけない。
この人は話の順序を知らないんだろうか。
「約束?…あ」
聞いて、気付いた。
『約束』は1つしかない。
【もう、ほんとにやめたからさ。信じてくれる?】
また、弱々しい声。
あの日以来、1度も会ってないし
そもそも、まだあまり日が経ってない。
…でも
「うん。信じるよ」
信じるって決めたから。
【よかった】
大ちゃんだから信じるんだよ。
この人はそこらへんちゃんとわかってるのかな。