“またね。”
彼女の存在
12月下旬。
菜摘はもう、伊織と隆志に大ちゃんとのことを話してなかった。
自分のことも大ちゃんのことも、悪く言われるのが嫌だったから。
そして何より─
自分の恋を否定されて、怒られるのが嫌だった。
ふたりに否定されたら立ち直れない。
でもやめることもできない。
自分勝手な恋。
彼女に対しての罪悪感なんて全くない。
それが最低だと、わかっていたから。
2人も何も聞いてこないのが救いだった。
まああれだけ騒いでいたのに突然何も言わなくなれば、聞きにくくなるのも当然だけど。
年が明ける少し前。
勉強をしてる時、なんとなく大ちゃんにメールをした。
クリスマスの名残があったんだと思う。
この時は、ただ純粋に大ちゃんが好きで
大ちゃんしか見えなくて
これから待ち受ける現実なんて、どんな結末を迎えるかなんて
想像もできなかった。