“またね。”
つい何時間か前に通ったばかりの道。
それなのに懐かしさまで感じるほど久しぶりな気がした。
「隆ちゃん、菜摘ヤバイわ。超ヤバイです」
行きと同様、荷台にまたがり、学ランをしつこく引っ張りながら言う。
朝よりは暖かいけど、やっぱり膝がヒリヒリする。
「俺らんとこきた人でしょ?かっこよかったよね」
…やっぱりバレてる?
さすが隆志。
「…なんでわかったのさ」
「めっちゃ顔真っ赤だったよ?珍しいからビビッたし。そりゃわかるって」
やっぱり。
『山岸』にもバレてたかな…。
「…だってさ、ヤバかったんだもん」
引っ張る力を弱め、口を尖らせながら俯いた。
まだ少しほてってる。
「よかったじゃん。また会えたらいいね」
俯いたまま、隆志の小さな背中に額をあてる。
後ろにいるから、表情は見えないけど
「…うん」
隆志のことだから、優しく微笑んでると思った。
隆志は本当に優しい子だから。