“またね。”
大ちゃんが差し出した物は、とても『可愛い』とは言い難い…

正直ウケ狙いとしか思えないデザインのキーホルダー。

期待していただけに、反応に困る。

「…大ちゃん。これさ、ウケ狙いだよね?」

「えっ?可愛くない?」

驚く大ちゃんに、余計に驚く。

本気で可愛いと思ってるのかな。

…ちょっとセンス疑っちゃう。

「菜摘ミッキーがよかった」

「ミッキー?メジャーだからダメじゃん」

メジャーだからダメ、の言い分がわからない。

それにこれはマイナーなんてレベルじゃない。

大ちゃんはキーホルダーをまじまじと見ながら、可愛くないかな、と呟く。

「…嘘だよ、ありがと。大切にするね」

そんな大ちゃんを見て、自然と笑みがこぼれた。

だって可愛いんだもん。

嬉しそうに、無邪気に笑う大ちゃんも

そんな大ちゃんがくれた、このキーホルダーも。

「一生大切にしろよ」

一生…─



ねぇ、大ちゃん。

あの時のキーホルダーは、今も机の中に眠ってるよ。

大ちゃんがくれた物だから。

一生大切にするって

約束したから。



本当に

本当に

嬉しかったんだよ。
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