“またね。”
『本当に彼女いるの?』

つい聞いてしまいそうになるくらい、大ちゃんは彼女の話をしなかった。

とても彼女がいるような態度じゃなかった。

今までどうして彼女の存在が気にならなかったのか

やっとわかった気がする。



初めて大ちゃんの口から出た『彼女』という言葉。

それに今日は

大好きな『またね』が聞けなかった。

ねぇ、

もう会えないのかな…。



誰もいない、静まり返った公園で

紺色のマフラーに顔を埋めながら

菜摘は1人、泣き崩れた。
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