“またね。”
《送信:大ちゃん
うん、いいよ》

『別れてない』って言われたら、断れるんだろうか。

『そんなのダメだよ』って

『彼女、大切にしなよ』って言える?

─きっと無理だ。

言えるわけがないし、言いたくもない。



結局は、大ちゃんが好きで

会いたい気持ちに負けるんだ。

菜摘はいつだって自分が1番だ。



《受信:大ちゃん
マジ?よかった。お前カラオケ好きだもんね》

違う。

菜摘が好きなのは大ちゃんだよ。

大ちゃんとだから行くんだよ。

ねぇ、気付いてる?

気付いてて言ってるなら最低だよ。



あれだけ気にしていたのに

罪悪感が生まれたはずなのに

たった一瞬で、もうなくなっていた。

『大ちゃんに会える』

それだけ。



むしろ別れていることを願った。

奪えるものなら奪ってやりたい。



─…菜摘も、充分最低だ。
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