“またね。”
長くなると思われた犯人探し。

むしろ見つかるわけがないだろうと、半ば諦めていた。

もうどうでもいいし面倒臭い。

菜摘は出会い系なんてやってないんだから、信じてほしい人だけ信じてくれればいい。

アドレスとか写メとか流されたり、悪用されたりするのはちょっと嫌だけど…。

そう思っていた矢先だった。



お姉ちゃんに送ってもらい、デパートへ行った。

お気に入りのノートを買って、プリクラ帳も買って、いい気分で車へ戻ろうとした時。



「高山菜摘?」



少し高めの、女の子の声。

振り向くと、知らない女の子が3人。

見たこともない女の子たち。

「そうだけど、なに?てか誰?」

知らない人にフルネームで呼び捨てされるのはあまりいい気がしないし、声のトーンからして『友達になろうよ』なんて話じゃないのは一目瞭然だ。

経験上、こういう時は基本的にいいことがない。

つい声が低くなる。

菜摘の口調が気に入らなかったのか、3人の目付きが変わった。

制服からしてたぶん同い年だ。

「お前、最近調子こいてんだって?」

─ああ、やっぱりそういう話か。

うんざりして、少しカチンときた。

「はあ?受験で忙しくてさ、お前らみたいにバカやってる暇ないんだって」

勝手な因縁をつけられて苛立ちを隠せない。

背の高い3人に負けじと、思いきり睨み返す。

菜摘は自他共に認める短気だ。



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