“またね。”

友情の終わり

誰もいない、静かな家。

入ってすぐに細い階段がある。

ゆっくり登って行くと、少しずつ音楽が聞こえてきた。

カラオケでよく2人で歌う曲。

大好きな曲。



不思議と部屋へ近付くにつれて冷静になっていく。

ドアノブに手を掛け、ゆっくりと押す。



「菜摘!久しぶり!」

ベッドに座る美香の、いつもと変わらない笑顔。

いつもなら微笑み返すけれど

今はとてもそんな気分にはなれない。

「…あれ?なんかキレてない?」

意識はしていないものの、自然と顔が強ばっているんだろうか。

美香から視線を逸らし、黒いソファーに腰掛ける。

「どしたの?なんかあった?」

頭は金髪だし、喧嘩は大好きだし、学校にも行ってないような子だけど

声も表情も優しい美香。

ねぇ、あんなの嘘だよね?



「聞きたいことあんだけど」



俯いたまま、静かに言う。

…空気が凍てついたのがわかった。

「…なに?」

何を言われるのかがわかったのか声のトーンが変わる。

そんなの認めてるようなもんじゃん…。

「菜摘ってさ、調子こいてんの?」

音楽が止まり、部屋がシーンと静まり返る。

少し間をあけ、美香が小さく呟いた。


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