“またね。”
最近また植木くんの家に行った。

いつものように、転がっていたガスに手を付けようとした時

「お前、友達だろって。菜摘のこと裏切んなよって…」

俺もやめるから、お前もやめろ。

友達を裏切るなんて最低だ。

そう言われた瞬間、菜摘への不満が爆発したと

呟きながら、美香は俯いた。



─ちょっと待ってよ。

そんなの知らない。

あの日、植木くんとは怒鳴り合いになって

菜摘は部屋を出て行って…

植木くんには嫌われたと思っていた。

もう本当に頭が混乱する。

それに─



「美香…植木くんのこと好きなの?」



そんな素振りはなかった。

気付かなかっただけ?

美香は泣き腫らした目で、菜摘を睨み続ける。

「あんたのせいだよ!全部あんたが悪い!植木くんに嫌われたかもしれない…」

だからって、あんなことをしてもいい理由にはならない。

そんなの理不尽だし、あまりにも勝手すぎる。
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