“またね。”
好きだから相手に合わせたい。

好きだから他の人に嫉妬する。

何がなんでも嫌われたくない。

その気持ちはよくわかるけど

こんなやり方、絶対に間違ってる。



「2度と会いたくない!顔も見たくない!お願いだから消え─」



─…乾いた音が

部屋に響き渡った。



「…こっちの台詞だわ。バイバイ」



頬を抑えながら俯き、すすり泣く美香に背を向けて

部屋をあとにした。



…昼間はすごく晴れていたのに

いつの間にか、少し吹雪いていた。



「遅かったね。もういいの?」

「うん、ごめんね。帰ろ」

ゆっくりと動き出した車の中には、明るい曲が流れていた。

こんな時、ドラマや漫画なら

心境に合った悲しい曲や、思い出の曲なんかが流れるんだろうな─
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