“またね。”
「えっ!そうなの!?なっつが!?」
いつだって積極的な菜摘の意外なエピソードを聞いた伊織は大袈裟に驚く。
やっぱり余計なことを言う隆志に、強めに一発蹴りを入れた。
「いってぇ!スネはなしだって!」
「お前うるさいんだって!余計なことばっか言うからじゃん!」
本気で怒ったわけじゃないけど、本当に恥ずかしくて。
あんな気持ち初めてだったから、どうしたらいいかわかんなかったんだよ。
お詫びの印に、隆志の背が伸びるようにと給食の牛乳をあげると、伊織が興奮気味に言った。
「じゃあさ、街中のゲーセン行こうよ。あそこらへん高校生の溜まり場だし、その人もいるかもじゃん」
さっきまで呆れ果てていたはずの伊織は、菜摘が『かっこいい』と連発する男を一目見てみたくなったらしい。